第3回理事長コラム ─ タイの不動産について その2

 

前回に引き続きタイの不動産についてお話しします。

先週は賃貸について色々と書いてきました。

第2回目は「不動産売買(新築・プレビルド編)」です。

 

詳しい数字は公表できませんが、タイにおける居住用のコンドミニアム・新築戸建てのプロジェクト数はだいたい年間400~500プロジェクトを推移しています。ユニット数(戸数)でいうと8万戸〜10万戸という状況です。

*ちなみに日本の住宅着工戸数は約90万戸。

人口が日本の半分、一人当たりGDPは5分の1〜6分の1ですが、日本は世界でも稀に見る「新築大好き国家」ですから、単純に比較するのは危険です。

さて、年間10万戸という数字、実はエリアによってかなりばらつきがあります。

例えば、バンコク中心部となると土地が少なくなってきているせいか新しい物件が少ないです。なので、すぐに完売、もしくは90%以上が即完という世界です(もちろん物件によります)。こればかりは、現地でその販売状況を見ていないと実感しにくいかもしれません。

このコラムでは物件販売を目的としておらず、あくまで情報提供に徹しておりますので、詳細はなかなかお伝えしにくいですが、バンコクの新築コンドミニアムの販売状況は非常にアグレッシブであるということだけお伝えしたいと思います。

例を挙げると、5年ほど前の話ですが、ある物件では予約券がネットオークションで3倍の値がついたことがあります。

どういうことかというと、タイで新築物件を購入する時は以下のような支払い方が多いので頭の片隅にでも入れておいてください。

  1. 手付けを入れる(だいたい10万円〜30万円)
  2. 契約書+頭金振り込み(だいたい全体の30%)
  3. 物件完成までダウンペイメントで支払い(平均2年〜3年)

この1の部分、いわゆる手付金=予約という形ですね。

*ちなみに手付けを入れて購入キャンセルになった場合、お金は返ってきません。

この手付けの領収書がネットオークションで売り出され、3倍の値段がついたわけです。

 

なぜそんな事が起きたか?

 

理由は単純で、物件価格が値上がるからです(当然100%ではありません)。

バンコクの新築コンドミニアムはプレビルド段階の価格から竣工時の価格までで平均して120%~150%の値上がりがされるという物件が多いです(何度も書きますが、100%値上がるわけではありません)

プレビルド発売時は80%までを第1期として販売して、残りの20%をゆっくり値上げしていって売るというスタイルが多いです。

日本では考えられませんね。しかし現地では当たり前の光景です。

デベロッパー側が意図的に価格を吊り上げているのです。

そのため、バンコクの不動産価格が上がっているのです。

 

ではバブルではないか?とお思いかもしれませんが、

税金や管理費などが安いタイでは、いわゆる富裕層がキャッシュで、しかもバルクで購入していきます。

ローンでレバレッジを効かせて、という手法ではないことと、実体経済の伸びに対しても価格はまだ手頃というのが現地のデベロッパーの見立てになっています。

では、果たしてプレビルド投資は儲かるのか?

答えは出口戦略の持って行き方次第というのが答えです。

 

私もプレビルド物件を購入されて、売却された方のお手伝いを何件かしたことがありますが、だいたい経費をあわせてトントン、もしくは3~5%儲かったというのが正直な所です。

あと、10年くらい寝かせてもいいよ、という方は大幅に利益が出ています。損をしました、というのはだいたい地方・郊外の物件です。

そういう意味では、ある程度「固い」投資案件なのかもしれません(実際、私も購入手前まで行っていたのですが突然の帰国命令で断念しました・・・)。

が、油断は禁物です。

必ず信頼できる不動産会社、ならびに情報網を持つことが重要です。ご不安であれば、相談してください。

 

では今週はこの辺で。

次回は「タイの不動産売買(中古編)」をお届けします。