第2回理事長コラム ─ タイの不動産について その1
私は2011年から2014年の間、タイにて不動産ポータルサイトの運営をしておりました。そのため、タイがどうしても強い部分ではありますので、早速ですがタイの不動産についてお話ししたいと思います。
第1回目は「タイの不動産賃貸」についてです。
タイという国は親日国であり、仏教に根ざした倫理観を持っているため、日本とのつながりは非常に深いです。事実、60年以上前からTOYOTAがタイに工場を作り、今や自動車産業の一大集積地になっています。
2015年末にAEC統合という大きな出来事があり、その中でもタイはメコン流域国の中でダントツの存在感を見せています。周辺国からの人の流入も多く、非常に活気にあふれています。
そのため、今後もより多くの日本人が仕事でタイに来られると想定されます。
さて、そんなタイですが、家を借りる時は日本と違い、色々と苦労させられるかもしれません。
簡単に日本とタイの違いを少しお話しさせていただくと、
■日本では不動産を扱う場合(賃貸も売買も)宅建免許を持つ企業が対応、重要事項説明は必ず取引主任者が対応しなければいけないが、タイでは免許がなく、契約書が全て。
礼金という考え方はなく、デポジットという、いわゆる敷金のみ前払い(前家賃1ヶ月分を先に支払うという事もあるが、ルールではないので交渉)。→引越し時にはクリーニング代等を引かれて返却されます。
■契約期間は1年が普通(日本は2年)。ただし、退去時は契約に従って支払いますが、だいたい1年未満での解約は残りの契約期間分の家賃を支払う必要があります。基本的に家具はすべて揃っています。ベッドカバーや枕などは自分で購入する必要がありますが、日本からの引越しでテレビや冷蔵庫といった大きなものは基本的に不要。
■よくある話ですが、良い物件は1年ごとに家賃が簡単に上がります(ひどい話だと1.5倍に上がる所も)。逆にボロボロの物件の場合、交渉次第では家賃が下がることもあります(それくらい物件の質が違う)
上記以外にも細かいところで違いはあるのですが、基本「交渉」です。なんでもかんでも交渉です(これはASEAN全体に言えることです)。
この辺りの交渉は日系の不動産会社が対応してくれます。
ただし、注意して欲しいのは、日系の不動産会社でも最低家賃というものがあります。例えば、日本円で3万円程度の家賃に住みたいとなれば、日系の不動産会社は基本的に対応してくれません。
理由は簡単で儲からないからです。
もちろん対応してくれる企業もあると思いますが、かなり希少です。私もタイで不動産仲介を仕事でしましたが、動けば動くほど赤字です。正直やれません。
そういう人はどうするか?
もう現地タイ人の友人に頼む、物件に直接行って交渉、というのが殆どです(かくいう私も最初は自らの足でアパートに行き、英語が通じない中、筆談で交渉して、家賃1.5万円/月の所に半年住んでいました)。
言葉が話せないというのはなかなかつらいですね。
タイで家を借りて住む、というのはお金があれば最高なのですが、お金がない、となれば、割と苦労を強いられます。
さて、次回はタイの不動産売買(新築:プレビルド)についてお話しします。お楽しみに。