海外不動産協会コラム(2022年12月31日発行)
海外不動産協会コラム(2022年12月31日発行)
【RCEP】地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が1月1日に発効
1.RCEP協定が2022年1月1日に発効
RCEP協定は、少なくとも6のASEAN構成国である署名国及び少なくとも3のASEAN構成国でない署名国が批准書、受諾書又は承認書を寄託者であるASEAN事務局長に寄託した日の後60日で、寄託をしたこれらの署名国について効力を生ずることとなっています。既に我が国のほかにブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、シンガポール、タイ、ベトナムが寄託しており、2021年11月2日(火曜日)のオーストラリア及びニュージーランドの寄託によって、2022年1月1日(土曜日)に、我が国及びこれら9か国についてRCEP協定が発効することとなります。
2.RCEP協定の発効を歓迎
我が国として、RCEP協定の発効を歓迎します。これにより、世界の成長センターであるこの地域と我が国とのつながりがこれまで以上に強固になり、我が国及び地域の経済成長に寄与することが期待されます。
海外不動産協会:経済産業省HP記事より
https://www.meti.go.jp/press/2021/11/20211104004/20211104004.html
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ニュースは前回のものと同じですが、内容は前回から続きます。
今回は日本企業にとってのメリットを書いていきます。メリットは大きく二つあります。
1点目は、日本・中国・韓国間の初のEPAとなることです。関税削減・撤廃の効果を両国への輸出規模と関税削減率の大きさで見ると、日本から中国向けの輸出においては、自動車部品や鉄鋼製品、プラスチック及びその製品を中心に、そして韓国向け輸出においては、プラスチック及びその製品を中心に恩恵を受けやすくなります。その中でも特に、日本から中国へ輸出される自動車部品に対する関税の一部が、発効1年目から段階的に削減される影響は大きいと言えるでしょう。さらに、関税メリット以外に目を向けても、日本・中国・韓国の市場がRCEP協定でつながる効果は大きく、ASEAN地域に進出した日本企業が、日本から部品を輸入し、ASEAN国内で組み立て、それを中国に輸出するなどが可能になってきます。日本から輸入した部品が原産地規則(RCEP協定に加盟している国の原産品として認められるための要件)を満たすものであれば、それがそのまま当該ASEAN国での原産材料として認められることから、そこで加工された最終財が原産地規則を満たしやすくなり、RCEP協定を使って中国に輸出できるという仕組みになります。日本から輸入する部品は高付加価値であるものが多いため、それが当該ASEAN国での原産材料と認められる点も非常に重要な点と言えます。
2点目のメリットは、RCEP協定を利用する場合、輸出や投資に関するルールが共通となることです。これがかなり重要なことだと思います。2国間でのFTA締結は多かったのですが、3つ目の国が入ってくると一気に面倒になります。この辺りのルールや手続きが共通化されるのは利便性が非常に高まると思います。
そして、上記の2つのメリットがあると同時に不動産においても流動性が一気に高まると期待感が出てきます。ASEAN各国で大型プロジェクトが組まれていますから、RCEPで利便性が高まるとこの開発に拍車がかかると思われます。
そういう意味で2022年は非常に面白い年になると期待しています。
ぜひ皆さんも期待しておいてください。
以上