海外不動産協会メルマガ(2021年12月16日発行)

海外不動産協会メルマガ(2021年12月16日発行)

今月のメルマガは、『令和4年度税制大綱について』について、理事の松石滋樹公認会計士が発信いたします。

令和4年度税制大綱

2021年12月10日(金)に自民党税制調査会は令和4年度税制大綱を取りまとめました。税制大綱とは、次年度(今回の場合は、令和4年4月1日以降の年度)以降に適用となる税制案であり、年明けの通常国会で承認を得られた後に、正式に新しい税法として扱われます。
今回の税制大綱では、「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」を目的としており、主だった内容は下記の通りです。

1、住宅ローン控除の適用期限延長(所得税)

住宅を取得した際に借り入れを行いその残債が残っている場合、一定額を税額控除とすることができる住宅ローン控除に関する税制が延長されました。これにより、令和7年12月31日までに取得した住宅についても住宅ローン控除を利用することが可能となりました。
また認定住宅等以外の住宅の場合、令和4年または5年に居住開始した場合には、3,000万円までの借入金額が住宅ローン控除の対象となり、借入残高の0.7%が13年間税額控除されます。なお住宅ローン控除を利用できる人の要件ですが、年間の所得が3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられました。税額控除額は減少し、所得要件も引き下げられているため、高額な住居を購入するためには、使いづらい税制になってしまったと考えられます。

2、所得拡大促進税制について(法人税)

法人が従業員に対して支給する給与額を2.5%以上増進させた場合、増加させた給与額に応じて、税額控除を受けることができる規定が1年間延長されることとなりました。法人経営者が税額控除を受けるために、従業員の給与を増進させる動機づけとなる税制がひき続き継続されることとなります。

3、固定資産税の据え置きについて(固定資産税)

コロナ禍に対して固定資産税の負担軽減のために、地価の上昇があっても固定資産税の課税標準額が据え置かれることとなっておりましたが、2021年度で据え置きが終了することとなりました。そのため今後は土地の評価額が上昇した場合には、固定資産税も増加することとなります。なお商業地の固定資産税については、増加を軽減する制度が新設されております。

まとめ

今回の税制改正では思い切った増税や減税につながる制度は少ないと考えられるため、経済に与える影響は限定的と考えられます。

以上