海外不動産協会コラム(2021年4月8日発行)

海外不動産協会コラム(2021年4月8日発行)

【ベトナム】住宅価格高騰で不動産会社にクギ

ベトナムの建設省はこのほど住宅市場を分析したリポートをまとめ、新型コロナウイルスが流行した2020年初めから今年2月までの間、ベトナム国内のいくつかの場所で住宅や土地(使用権)の価格が10%以上上昇したと指摘し、不動産会社の中には自社利益のために不当に価格をつり上げている企業が存在することを報告した。

海外不動産協会: NNA記事より
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ベトナムはハノイ・ホーチミンと2大都市がありますが、特に顕著なのがホーチミンです。ホーチミンは2015年に外国人への販売が可能になってから、急速に成長を遂げてきました。そして、2015年時に販売された物件が2018年以降竣工されていき、さらに価格が押し上げられるという現象が起きました。

2020年、コロナがあったにも関わらず、価格が上昇しているのは「不動産会社が自社利益のために不当に価格を釣り上げている」と建設省は指摘しています。ただ、これはある意味では正しく、ある意味では過剰反応だと思います。その理由の一つに、住宅供給抑制がありました。2019年、政府は高騰化するベトナム不動産に対して、新築の供給制限を行いました。これにより、新規に作ることができる物件数が減りました。しかし、旺盛な需要がそれを上回り、既存物件の価格がどんどんと上がっていきました。

それに対抗するかのように、新規開発権利を持っているデベロッパーは中古物件より安い新築を出すのを控えて値段を上げていくという循環に入ったのです。それがコロナ関係なしに1年で10%以上上昇した理由だと思います。

つまり、政府が止めようとも、マーケットとしては「需要が上回り、それに応じて価格が上昇した」という自然な現象が起きただけとも言えます。ただし、気をつけないといけないのは、「需要はいつまでもあるものではない」ということです。これはタイでもフィリピンでもマレーシアでも起きた話です。政府としては「緩やかな不動産価格上昇」は受け入れられますが、「急激な上昇」はバブルを引き起こし、経済に影響が出るので避けたいのです。過去、ベトナムは何度となくバブルを迎えてバブルが弾けた国でもあります。見極めが重要な局面に入っていると思います。

以上