海外不動産協会コラム(2021年2月25日発行)
海外不動産協会コラム(2021年2月25日発行)
不動産市場の回復は2022年になってから
不動産業ヘンリー・ブッチャー・マレーシアのタン・チーメン最高執行責任者(COO)は市場調査報告の発表式で、今年の不動産市況は横ばいの見通しで、行動制限令(MCO)の再導入、緊急事態宣言が行われたため、回復は2022年になるとの見解を示した。
報告書によれば、持ち家支援キャンペーンが6月までのため不動産開発業者は住宅売り込みに力を入れる見通しだ。住宅デザインでは作業スペースなど在宅勤務を考慮した工夫を凝らすと思われるという。
オフィスビル、小売り施設とも営業不振によるテナントの撤退が予想され、明るい展望は開けない。ホテル、レジャー関連施設も好転は期待できない。
工業不動産も昨年は取引件数、額が前年を下回ったが、最も活気のあった部門だ。ゴム手袋製造への相次ぐ参入、電子商取引の増加による倉庫・物流施設需要の増加が背景にある。今年の市況は改善が見込めるという。
海外不動産協会: NNA記事より
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マレーシアの不動産マーケットが厳しいという見解です。
マレーシアは2014年に外国人投資規制を敷いてから徐々に不動産価格が下降していき、今はほぼ横ばいというマーケットになっています。特に日本人などを含む外国人向け投資物件は大幅に下がっているわけでもありませんが、上がってもいません。
ですので、マレーシアの不動産マーケットは常に横ばいという印象があります。今はコロナの影響、と言われていますが、実は2017年くらいからほぼ横ばいです。ただ、マレーシアは値上がりしにくいと言われていますが、それはあくまで全体の話であって、当然ながら値上がりしている物件もあります。またインフラがしっかりしているので、住みやすい街に生まれ変わっているのも忘れてはいけません。ある意味で成熟しつつあるという方が本質をついていると思います。
とは言え、ニュース記事にある通り、商業施設やオフィスはコロナにより厳しいのは確かでしょう。ここは如何ともし難いですし、他国でも似たような話です。
そして、工業不動産が良いという明るいニュースも書かれていますが、マレーシアというのはマラッカ海峡を持つ、地理的に非常に重要なエリアにある国です。特に物流に関しては多くの国が狙っている場所です。ますますネットでの買い物、ネットでの取引が進めば、倉庫も必要でしょうし、物流が重要になってくるのは自明の理です。マレーシアという国は資源が取れる国ですから、今後の方針も変わってくるかもしれません。
しかし、2021年は厳しいという話はあまり聞きたくないですね。なんとか早くコロナが落ち着いて欲しいものです。
以上