海外不動産協会メルマガ(2021年1月12日発行)

海外不動産協会メルマガ(2021年1月12日発行)

今月のメルマガは、『令和3年度税制大綱について』について、理事で公認会計士の松石 滋樹氏より、令和2年12月21日に閣議決定され、令和3年4月1日以降、適用となる令和3年度税制大綱について、解説いたします。

令和3年度税制大綱について

簡潔に申し上げると、今回の税制大綱は一般的な不動産投資家にとって、有用となる改正は乏しいといえます。大綱のうち、個人所得税及び資産税(贈与税、相続税)の改正内容(一部)は下記の通りです。

個人所得税

1、住宅ローン控除の特例の延長等
控除期間 13 年の特例の適用期限を延長し、令和4年末までの入居者を対象とするとともに、この延長した部分に限り、合計所得金額 1,000 万円以下の方について面積要件を緩和し、40㎡以上の物件を対象とします(現状は50㎡以上)。
2、 セルフメディケーション税制の見直し
取組関係書類の提出が不要となり、制度自体の適用期限を5年延長します。
3、 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
国や自治体からの子育てに係る助成(ベビーシッター・認可外保育施設の利用料等)を受け取った場合であっても、その助成金収入が非課税となります。
4、退職所得課税の適正化
勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金について、退職所得控除額を控除した残額のうち 300 万円を超える部分については従来、半分が課税されておりましたが、今後はその課税が行われません。

資産税

1、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の拡充
非課税枠(1,500 万円/令和3年4月以降縮小)の適用期限が令和3年末まで据え置かれます。また住宅ローン控除と同様、40㎡以上の物件が対象となります。
2、 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
適用期限が2年間延長されます。ただし、一括贈与した金額について、教育資金支出額を控除した残額がある場合には、その残額が相続税対象となり、相続税額が2割増加します。

上記が、主だった改正内容となっております。今回の税制改正に基づく節税はなかなか見出しづらいかと思いますので、まずは現在も利用できるコロナ関連の助成金(固定資産税の減免申請やコロナ関連特別融資)を活用いただくことがよいかと思われます。

以上

(2021年1月12日発行)