海外不動産協会メルマガ(2020年12月8日発行)
海外不動産協会メルマガ(2020年12月8日発行)
今月のメルマガは、『不動産購入と節税』について、理事で公認会計士の松石 滋樹氏より、不動産投資が節税と両立できるパターンを解説いたします。
不動産購入と節税
日本の個人所得税の計算において、不動産所得と事業所得は、毎年の所得計算において損失が発生した場合には、給与所得など総合課税される所得と損益通算(相殺)することができます。この制度を利用して、サラリーマンなどの給与所得者の方が不動産投資をおこない、不動産事業について損失を計上することで、合計所得を減らして節税を図ることが可能です。この損益通算の制度をうまく利用できれば、不動産投資を行い、家賃収入を獲得しながら、節税により資金を留保していくことができます。
税金についての注意点
一方、賃貸用不動産を取得し、数年経過した後は、税金について注意が必要です。賃貸事業について、資金繰りが黒字となっている場合、確定申告書上の不動産所得も黒字になる可能性が高く、確定申告で追加納税をする必要が発生します。また不動産所得が赤字であっても、当該赤字から土地に関する利息分を控除しなければならないため、相殺できる損失額が少なくなり、節税効果が限定的となります。
毎期継続的な節税を行う場合
不動産賃貸収入を獲得しながら、毎期継続的な節税を行う場合には、資金収支は黒字化していても、所得計算上は赤字となっていることが必要です。現状の税法では、計算上の損である減価償却費が多額に計上できる場合には、節税を図りながら資金収支を黒字化することが可能です。そのため海外不動産を用いた減価償却による節税手法が近年紹介されておりました。ただ減価償却が多額に計上できる不動産であれば、国内外を問わず節税を図りながら賃貸収入を獲得することが可能です。
減価償却が多額に計上できる不動産の要件
減価償却が多額に計上できる不動産の要件は、⑴不動産の取得価格のうち建物価格と土地価格を比べた場合、建物価格の割合が相対的に大きい、⑵建物の築年数がく償却年数が短い、となります。
日本国内の不動産は相対的に土地価格が高く、築年数が古いと建物価格が低いケースが一般的ですが、賃貸物件の中には上記条件を満たすような不動産もあります。そのため不動産投資を行い、収益を獲得しながら、節税を行うためには、上記条件を満たすような不動産を選択されることがよいと考えられます。
以上
(2020年12月8日発行)