海外不動産協会メルマガ(2020年7月14日発行)
海外不動産協会メルマガ(2020年7月14日発行)
今月のメルマガは、『海外不動産の表示に関する公正競争規約』として、理事の宮本 聡氏より発信します。
OREAは2017年に業界の有志の集まりによって設立された非営利団体
一般社団法人海外不動産協会(以下、「OREA」)は、日本ではまだ一般的ではない海外不動産の取引市場が健全に発展していくことを目指して2017年に業界の有志の集まりによって設立された非営利団体です。
海外不動産のエキスパート
現時点で日本では、海外不動産の取引に関して、宅建業法などの具体的な規制がありません。したがって実情としては、海外不動産の販売を開始するための許認可・届出などは不要で、誰でも今から自由に海外不動産の日本での販売活動ができます。実際に、宅建業の免許も法人格もなく、個人が自称で「海外不動産のエキスパート」等を名乗って営業活動をすることができています。
日本人の海外不動産取引はまだまだ発展途上
これが直ちに「悪」とは言いませんが、残念ながらこういう方たちの一部の方が、購入者への適切な情報提供なしに販売したり、売りっぱなしで後のフォローを全くしなかったり、最悪の場合は騙したりといった悪い事例を作っています。日本人の海外不動産取引はまだまだ数が多くないこともあり、こういった悪意ある(あるいはスキルの足らない)業者が存在し、購入者とのトラブルが発生することは、「海外不動産=怪しい」という印象を与えてしまい、業界の健全な発展を妨げることになると考えています。
不動産業は情報格差が激しい業界
不動産業は、元々専門家と一般の方の情報格差が激しい業界と言われています。したがって、不動産取引に何の規制もなかった場合には、「情報の優位者」である専門家(不動産業者)が「情報劣位者」である一般消費者にとって不利益な取引をすることは容易です。そのために、日本では「宅建業法」などの法令や、「不動産の表示に関する公正競争規約」などのルールによって、不動産業者が厳しく監視・監督されています。これらのルールによって、不動産業者は、適切な説明責任が課され、優良誤認を引き起こすような広告手法(誇大広告やおとり広告等)が禁止されているのです。
根拠のない「ディスカウント」表示は顧客の判断基準を曇らせる
先日、カンボジアの不動産を日本人にご紹介しているとある業者(OREA非会員)が、「期間限定ディスカウントセール」をネット上で展開し、広告を打って集客をしていました。後々調べてみたところ、これはプノンペン現地で行われていたセールスキャンペーンのようで、これがカンボジアで行われることは、ルール上も商習慣としても問題ありません。ただ、このキャンペーンをそのまま日本で展開することは、私たち「不動産業者の常識」からは考えられません。「期間限定」は過度な「煽り」になり、根拠のない「ディスカウント」表示は顧客の判断基準を曇らせるからです。しかし、ルール上は問題にならないのが今の日本の実情なのです。
海外不動産の情報は、国内不動産以上に専門家と一般の方の情報格差がある
海外不動産の情報は、国内不動産以上に専門家と一般の方の情報格差があります。もしもOREA会員企業がこのような販売手法をとった場合、OREAとしては警告や指導をします。今回は残念ながらこの業者が非会員だったため、直接そこに何か具体的な働きかけをすることはできず、会員企業間での情報共有と注意喚起に留まりました。現時点でのOREAの力不足を痛感すると同時に、今後まずます私たちの活動の必要性が増すことを実感しました。
会員企業間での共通の指針(自主規制)の整備に努めます
現時点でこのような「ルール上はNGではないが、社会通念上は疑いがある」販売手法を取るか否かは「業者の姿勢」です。OREAでは、このような販売活動が日本で行われることは健全な業界の発展を阻害する一因になると考えています。引き続き、会員企業間での共通の指針(自主規制)の整備に努め、適切な情報発進と、関係各所との対話を続けて行きたいと思います。そして、OREA会員企業であることが「信頼の証」となることを目指していきます。
以上
(2020年7月14日発行)