海外不動産協会メルマガ(2020年5月5日発行)

海外不動産協会メルマガ(2020年5月5日発行)

今月のメルマガは、『海外不動産に関する経費について税務上の注意点』として、理事で、公認会計士松石滋樹氏より、海外不動産の税制について発信します。

海外不動産に関する経費について、税務上の注意点

海外不動産を購入した場合、購入に関する経費や管理に関する経費などが発生します。これらの経費について、日本の確定申告書に計上する場合には、日本の税法基準に従って、処理を行う必要があります。ただ日本の税法が想定している経費と実際の支出内容が異なることがあるため、経費計上できるか否かについては、慎重に判断する必要があります。
以下、具体的な支出項目を基に、経費計上の可否について、解説いたします。

仲介手数料について

不動産を購入する際に仲介業者に支払われる手数料は、不動産の購入価額として資産計上することが定められております。そのため海外の不動産購入の際に支払われる仲介手数料も経費ではなく、資産計上する必要があります。

ただし海外不動産購入に当たっての仲介手数料には、通訳や翻訳業務などの業務に対する手数料も含まれている場合があり、物件の紹介などの仲介業務とは異なる業務サービスが含まれていることがあります。そのため海外不動産購入に関する仲介手数料については、その内容を確認したうえで、資産計上するか経費計上するかを判断する必要があります。

なお請求書や領収書の名義が仲介手数料ではなく、コンサルティング料となっていた場合でも、契約内容や受けた業務サービス内容が仲介サービスであった場合には、経費に計上することはできません。

購入後のリノベーション費用について

中古不動産を購入しリノベーションを行ったうえで賃貸する場合、一般的にはそのリノベーションに関する費用は資産計上することとなります。
これは売主がリノベーションを売却前に行った場合には、物件の売買価額にそのリノベーション費用が加算されることになり、買主はリノベーション費用を資産計上することになります。そのため売主がリノベーションを行わずに、購入後に買主が同様の手続きを行った場合に経費計上ができると、実質的には同じことが起きたにも関わらず税法上の処理が異なってしまいます。そのため購入前後のリノベーションで税法上の処理が同じになるように、購入後すぐのリノベーションは資産計上することとなります。

購入後、どの程度の期間をあければ経費計上できるか否かについては、物件の状況や修繕の内容及び金額によって判断が異なりますので、個別案件ごとに税理士に相談されることをお勧めいたします。また、コンサルティング料の税務上の処理については、個別案件ごとに税理士に相談されることをお勧めいたします。

以上
(2020年5月5日発行)