海外不動産協会メルマガ(2020年2月11日発行)
海外不動産協会メルマガ(2020年2月11日発行)
人口減少や少子高齢化の進展など、経済発展の明るい展望に欠け、空き家の増加も社会問題になっている日本。最近はこれまで国内のみで不動産投資をしていた投資家たちが、そんな日本の不動産とは違ってインカムゲインとキャピタルゲインの両方が狙える有望な投資先として、海外不動産投資に関心を持つことが増えているようです。
全ての投資家にとって海外不動産が魅力的とは限りませんが、それはある意味では正しい認識であると思います。そんな日本人投資家のニーズに応えて、近頃は日本人にウケやすい「海外不動産投資パッケージ」を用意している海外不動産業者も増えてきました。ただ、投資の大原則ですが、リスクとリターンは比例します。したがって、期待の大きい海外不動産投資には、当然日本の不動産投資とは違ったリスクがあります。
海外不動産投資のリスクとは
海外不動産投資のリスクには、大きなものを挙げると、「カントリーリスク」「為替変動リスク」「信用リスク」「人的リスク」「法務リスク」「税務リスク」などがあります。今回はその中でも特に「信用リスク」についてご紹介してみたいと思います。
「信用リスク」とは
「信用リスク」とは、事業主体の経営状況が悪化(最悪の場合は倒産)し、顧客や投資家に約束していた条件を履行できなくなる可能性のことを言います。
日本に住んでいる日本人の感覚だと、不動産会社の信用情報はある程度までは比較的容易に調べられますし、不動産は仮にその開発会社が倒産したとしても、現物の所有権があればその価値が極端に毀損することは少ないため、あまり深く意識することはないかもしれません。
しかしながら、海外の不動産、特に東南アジアの新興国の不動産においては、大きく下記2つの観点から、「事業主体の信用度」は実はしっかり見ておく必要があります。
「プレビルド」による未完成リスク
日本で新築不動産を購入する場合は、5~10%程度の手付金を払って契約をして、物件が完成した後に残代金を支払うのが一般的です。しかし、東南アジアの国などでは、新築物件の竣工前~建設中に建物代金を分割で払っていく購入方法が一般的で、時に大きな値引きを得るために現金一括払いをすることもあります。
これが「プレビルド」と呼ばれる方法です。この購入方法の特徴としては、東南アジアでは工事が進むにつれて価格が上昇していくことが多いため、理屈の上ではキャピタルゲインを得やすくなるというメリットがあります。しかしデベロッパーの経営不振や倒産によって、物件の建設自体が頓挫した場合、それまで支払ってきたお金は購入者に戻らなくなり、当然当該不動産の所有権も得られません。また、頓挫まで行かなくても、建設計画が大幅に遅延した場合には賃料収入を得る機会が先送りになってしまうため、資金が想定よりも寝てしまい、投資収益が悪化してしまうことも考えられます。
賃料保証や買取保証の不履行リスク
日本人が好むキーワードに「賃料保証」と「買取保証」という言葉があります。そもそも新興国での不動産投資はリスク投資であるにも関わらず、インカムもキャピタルも定額あるいは定率で保証されていることが普通に考えればおかしな話なのですが、それでも日本人はそういう「保証」を好む傾向があります。最近はそんな日本人の好みに合わせて、比較的高利回りの賃料保証と買取保証をセットにした「日本人向けパッケージ」を用意する事業者も増えてきました。
その「保証」は(日本人に海外不動産を紹介するエージェントではなく)事業主が約束しているわけですが、その事業主の信用度は「地元の大手優良企業だから」とざっくり説明されるのみで、残念ながらしっかりと納得できる説明がされているとは言い難い場合が多いようです。2年や3年の賃料保証のみならともかく、5年や10年の長期に渡る賃料や買取の保証が提供されている場合には注意が必要ですし、そもそもあまりにも日本人好みなパッケージには「日本以外の国では売れていない」可能性も考えられます。
リスクとリターンを考える
繰り返しになりますが、高いリターンが見込める投資先には、必ずそれに見合ったリスクがあります。リスクを知った上で高い収益が期待できる案件を投資先に選ぶことは悪いことではありませんが、リスクを知らずに投資することは避けるべきです。そういう意味で、海外不動産を購入する際には、その投資先の魅力だけでなく、しっかりリスクまで説明できる業者と付き合う必要があります。我々一般社団法人海外不動産協会は、日本国内で活動する海外不動産業者が互いにチェックをし合いながら、業界を健全に発展させていくことを目指して日々活動しています。
以上
2020年2月11日発行