海外不動産協会メルマガ(2019年11月12日発行)
海外不動産協会メルマガ(2019年11月12日発行)
メルマガから海外不動産情報をお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今日のメルマガは、『海外資産に対する税務について』当協会の理事であります、公認会計士の松石滋樹氏からの内容です。
海外資産に対する税務について
海外不動産を購入するにあたり、一昔前までは所得隠し、資産隠しができる、と考えて、日本における資産の一部を海外に移す方がいらっしゃいますが、海外の不動産を購入されて、賃貸収入や譲渡益を獲得された場合には、日本国内の確定申告でその事実を申告する必要があります。
具体的な申告方法は、国内不動産を所有した場合と同じで、賃料収入から経費を控除した金額を所得として計算し、国内発生所得と合算して、所得計算を行うこととなります。
海外不動産の収入や経費は外貨建てとなります
日本円に換算していただき、所得計算を行います。そのため海外不動産からの賃料収入を得ているにも関わらず、申告を行わない場合には、脱税行為となりますのでご注意ください。
本来申告すべき所得を申告しない場合、税務調査の結果、脱税行為が指摘されますと、本来支払うべき税金(本税)に加えて、無申告加算税として、本税に対して50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の割合を乗じた金額を支払うこととなります。
また上記以外に本税については、申告期限から起算して、年利2.6%の延滞税も発生する可能性があります。追徴の税負担も大きいことから、海外不動産からの収益については必ず申告いただくことをお勧めいたします。
国外財産調書について
海外で保有する資産が5,000万円以上ある場合には、その内容を記載した国外財産調書を提出する必要があります。この調書を正しく作成して提出していると、上記の無申告加算税が5%軽減される一方、未提出や不実の記載となっている場合には、5%増額となります。
海外の資産と負債について、国税当局への開示をためらう方がいらっしゃいますが、下記のCRSや税当局の調査により、以前よりも容易に補足されるようになりましたので、正しい申告や調書の提出をお勧めいたします。
国税による調査について
海外の金融機関等を利用した国際的な脱税や租税回避に対処するために、各国の税務当局が金融口座情報を自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)が制定されています。この基準により、日本人が海外に保有している金融機関口座の情報は日本の税当局も補足することができるため、海外不動産からの賃料収入を口座振込で回収している場合には、賃料収入が補足されることとなります。
また上記CRSに基づかなくとも、税当局は日本から海外へ送金した事実をもって、海外での資産について補足を行っております。具体的には日本人が不動産購入にあたって、銀行から海外送金をした取引履歴は税当局によってその情報が収集されております。そのため、最近は海外送金を行うと数か月後に税務署から海外送金に関するお尋ね書類が届き、送金目的などについて回答することが求められております。
以上の状況から、海外での収入を獲得しているから、日本の資産を海外に移転される方について、今後は税当局によって補足されますので、正しい申告及び納税いただくことをお勧めしております。
以上
次回もお楽しみに。
2019年11月12日発行