海外不動産協会メルマガ(2019年9月10日発行)
海外不動産協会メルマガ(2019年9月10日発行)
メルマガから海外不動産情報をお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。今回は、理事の不動産鑑定士の島村氏よりご意見を頂きました。
不動産投資の基本シリーズ~オポチュニティとリスク~
不動産投資は、株、債券等とのあらゆる投資対象との比較の中で、投資性のある不動産を購入し、その不動産を賃貸、売買することで利益を得ることであり、そこには、この不動産特有の「オポチュニティ」と「リスク」がある。
オポチュニティはアップサイドであり、収益物件を保有する期間中のキャシュフローを努力と技術、経験等によって向上させたり、また保有物件の価格を付加価値の追求により上昇させたり、そのマーケットの読みにより売却するタイミングをはかる等で出口価格の上昇をはかること等が考えられる。
リスクは投資対象不動産について、その収益性をネガティブに変動させる要因、ボラティリティのことであり、リスクには事業性リスク、管理運営リスク、不動産を取り巻く環境リスク、物理的リスク、機能的リスク、経済的リスク、災害リスク、マーケットリスク等があげられる。
不動産投資においてオポチュニティとリスクを、情報収集や知識、経験等によりいかに上手くコントロールしてパフォーマンスを向上させるかが大切
特定の不動産に投資する場合、どのようなオポチュニティがあり、どのようなリスクがあるかをいかに適正に把握するか、そして、今後の投資期間においてそのリスクを軽減する余地や方策がないか、投資家はさまざまな情報と知識、経験の中で検討していくことになる。また、このリスクについては、不動産の取得段階、保有段階、売却段階でその内容が異なってくることも注意しなければならない。
海外不動産にスポットをあてると、キャピタルゲイン、インカムゲインを目指し投資する
当然このオポチュニティとリスクは付き物で、同じように両者をいかにコントロールするかが良いパフォーマンスにつながる。しかし、マーケット動向や価格の判断基準・指標の把握、契約内容の適正さ、出口の流通性など、それらを十分に分析できる環境が整っているかといったらそうとは言えないのが現状である。特に、情報量、事例の少なさから、このリスクを十分に分析できていないのが海外不動産を購入する投資家の現状であり、このオポチュニティを追求したくてもエージェントの情報に頼らざるを得ないのが現状である。
取得段階においては、地域リスクを分析するにしても、国内不動産であればある程度の情報で分析把握できるが、海外不動産はこのような情報をネット等で検索してもなかなか詳細までは把握することができないことから、そのエリアに精通している不動産エージェントを信用し行動することになる。見極めは、その経験値をヒアリングするか、エージェントのレピュテーションに頼らざるを得ないのが現状である。
信頼おけるエージェント選びは非常に大事
取得に際してはエージェントの依存度が高いので、ここで間違えると大きな損害へと発展するため、釈迦に説法ではあるが、信頼おけるエージェント選びは非常に大事になってくる。また、投資資金の流入が今後多くなる途上段階の地域への投資は、投資実績も少ないことから、日系の上場ゼネコンや大手ディベロッパー等が手掛けた物件を選択することなどもリスク回避の一例である。
事象をあまり分析せず購入してしまう投資家が特に海外不動産の場合は多い
保有段階、実は取得にばかり気を取られて保有期間を軽視している投資家は意外に多く、保有段階に起こりうる事象をあまり分析せず購入してしまう投資家が特に海外不動産の場合は多い感がある。投資不動産を現地で管理するプロパティマネジメント会社については、特にレピュテーション、管理能力、事業実績の把握が必要で、経済マーケットは活況にも関わらずそれに比例したパフォーマンスをあげられないでは本末転倒である。物件のエージェントと現地管理会社の業務・責任の範囲、保有期間中のサポート・保守メンテナンスの内容、期中の収支レポーティングの体制など、それらが明確に約束されているか、契約前に事前に把握しておくことがリスク回避にとって重要である。
売却段階では、その出口において流通性があるエリアについては、売却時期、その競合物件の事例分析によってある程度はリスクの読み込みはできるが、流通性が低いエリアへの投資は、その出口については十分留意する必要がある。これも紹介を受ける段階から購入するまでに、投資家自らがその売却リスクを明確化して、出口までのシナリオを描いておくことが重要で、シナリオが描けない場合は、その物件には投資をしない選択もリスク回避と考える。
以上
次回もお楽しみに。
2019年9月10日発行